認知症は予防できるvol1

超高齢化社会といわれる現代、認知症問題が、政治的に国を挙げて何とかしなければならないという方向に向かいつつあります。

誰もが年を取るとともに多少は記憶力が乏しくなったり、物忘れをすることが増えてきます。

 

これは必ずしも認知症の前駆症状とは言えませんが、中にはそのまま認知症に進行してしまう人もいるようです。

認知症は進行性の病気で、薬を服用して一時的に症状が緩和したり鎮静化したりすることもありますが、改善が難しい病気でもあります。

ですので日々の予防が大切です。

 

頭の健康は、高齢者のみならず、社会全体の克服テーマです。

アクセルとブレーキを踏み間違えてしまう前に、頭を元気にする方法を一緒に考えていきましょう。

 

認知症にはさまざまな種類があるのですが、大きく分けて4つに分けられる「4大認知症」というのもあがります。

一番多いものが、アルツハイマー型認知症で全体の60%を占めます。

特徴としは、女性に多く発生し、被害妄想や暴言・暴力、徘徊などに発展する可能性があります。

アルツハイマー型認知症の原因の一つは、脳の中にアミロイドβといわれるゴミのような不要なたんぱく質が溜まってしまうことだと考えられていました。

アミロイドβは健常者の脳内にも存在しますが、通常は適切な量のアミロイドβが適切な期間のうちに脳内から排出されます。

まれに大きいサイズのアミロイドβが生成され、排出できずに脳内に蓄積する場合があります。

このように異常に蓄積されたアミロイドβにより神経細胞が変性、死滅します。

やがて認知症症状が出てくるようになります。

 

 

●アルツハイマー型認知症患者の真の原因である脳に咲く「毒の花」

 

また、2022年6月2日に「Natre Neuroscienc」にて公開された最新の研究によると、アミロイドβが蓄積されるかなり前(数カ月前)から、アルツハイマー型認知症の脳の中に、黄色い花のような物質「毒の花」が発現していることが発見されました。

(画像=Credit:Ju-Hyun Lee et al . Faulty autolysosome acidification in Alzheimer’s disease mouse models induces autophagic build-up of Aβ in neurons, yielding senile plaques(2022) . Nature neuroscience、『ナゾロジー』より引用)

これは、細胞のゴミ回収車の役割を担う、「オートファゴソーム」が脳内の大量の老廃物をため込んだ状態のものだというのが分かりました。

通常ゴミ回収車「オートファゴソーム」は、老廃物をある程度までため込むと、老廃物の分解屋である「リソソーム」と結合して、老廃物を分解処理します。

この分解屋である「リソソーム」は本来、酸性の物質なのですが、アルツハイマー型認知症では酸性度がなくなり、ゴミ回収した老廃物が分解できずに大量に蓄積してしまうのです。

これは、アミロイドβが蓄積する前の段階で、脳のゴミ処理機能が壊れ、脳内に「毒の花」を形成し、最後にアミロイドβが蓄積されるという順番です。

アミロイドβの蓄積は結果であり、真の原因は分解屋「リソソーム」の酸性度の喪失だったということが分かってきたのです。

今までのアミロイドβを蓄積させないという研究から、リソソームの酸性度を回復させるための研究へと焦点が変えられそうです。

 

その他、アルツハイマー型認知症の原因として、遺伝因子、ストレス、生活習慣病、カビ、環境因子、歯周病などが挙げられます。

 

●歯周病対策でアルツハイマー型認知予防

歯周病菌は、アルツハイマー型認知症の蓄積物質であるアミロイドβを作り出します。

口の中で造られたアミロイドβは血流にのって全身をめぐり、脳に達すると老人斑というシミをつくり、脳神経細胞が破壊され認知機能の低下につながります。

また、歯周病は噛む力を弱らせます。

噛むという行為は、脳の記憶を司る海馬を刺激し、記憶機能を維持させるため、歯周病が進行し、歯が抜けたり、ぐらつくようになると、よく噛むことができなくなり、脳の刺激が減少し認知機能も低下しやすくなります。

アルツハイマー型認知症は、海馬の萎縮が目立つのも特徴です。

日々のお口の中のケアをすることで、認知症予防につながります。

また、適度な運動もおすすめです。

運動強度を高くするよりも、ウォーキングやエアロバイクなど、30分程度継続できる運動を行うことが推奨されています。

週に3回、できれば毎日行うことが理想です。

食品では、糖分や塩分摂りすぎ、マーガリンやショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸の摂りすぎに注意しましょう。

DHAやEPAといった不飽和脂肪酸を多く含む、サバ・サンマ・イワシなどの青魚はおすすめです。

これらの不飽和脂肪酸には、血液をサラサラにしたり、脳の働きを助けたり、動脈硬化や高脂血症を予防する効果があります。
抗酸化作用のある緑黄色野菜もしっかりと摂りましょう。

また大豆に含まれるレシチンとう物質は、脳神経細胞の栄養になるのでおすすめです。

 

 

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