誰でもできる卵子の質をあげる方法

 

卵子も老化する

 

NHKクローズアップ現代という番組で、不妊症の原因の半分近くは「卵子の劣化」という内容のものが放送されたことがあります。

体外受精をすれば誰もが赤ちゃんを授かれるというわけではないことは、何度も体外受精を繰り返しながらも妊娠に至らず、私どもにご相談頂くお客様がほとんどであることからも分かります。

日本産科婦人科学会をはじめとする学会、医療機関の妊娠率などのデータは全て年齢別になっていますし、年齢が高くなれば、妊娠率は下がり、流産率は上がります。

歳を重ねていくことで、妊孕性といわれる妊娠の可能性は低下します。

その理由の一つが、卵子の劣化なのです。

卵子のもとになる細胞は生まれた時にすでにあって、ずっと保存されているものですので、身体と同じように加齢の影響を受けます。

 

西洋医学では「卵の質」はお手上げ?

 

NHKの番組はかなりオーバーだと思いますが、現在の不妊治療において、「卵の質」が鍵になるのは間違いありません。

現代医学では、たくさんの卵子をとることができます。内膜を厚くすることも、卵管のつまりを解消する事もできます。

ただ、卵の質そのものを上げる治療は現在のところありません。

アシステッドハッチングや透明帯の除去などの技術(劣化により硬くなった透明帯という卵子の膜にスリットを入れたり、除去したりする技術)は着床率はあげますが、遺伝子情報のイレギュラー(染色体異常など)はどうすることもできず、その後の流産率は減りません。

若い人の卵子の遺伝子情報(核)を抜き、自分の核と入れ替えるという方法が、現在研究されているようですが、倫理的な問題が大きすぎて、実現は難しいような気がします。(遺伝情報が混じる可能性が否定できないとのことで、お母さんがふたり!?みたいなことになりかねません…)

また、若いときに卵子だけを凍結保存するという技術もありますが、受精卵の凍結と違い、未受精卵は凍結に弱く、蘇生率がかなり低いのが現状で、若い卵子があるから絶対大丈夫!ともいきません。

 

卵子の老化の原因

 

西洋医学的には、劣化というのは体のサビで、その原因としては「酸化ストレス」や「糖化ストレス」とも言われています。

漢方では、老化は「腎」からおこります。親から受け継いだエネルギーをためておくところで、妊娠・出産などと非常に深い関わりがあります。

腎のエネルギーを使用しながら日々生きていますので、そのエネルギーが少なくなったり、質が悪くなると、「老化」していくのです。

老化には個人差があります!

五体満足に生まれてきても、その使い方によって、老化のスピードは大きく違ってきます。

食事は健康的ですか?運動はしていますか?睡眠は毎日十分にとっていますか?心はいつも和やかですか?

睡眠時間は5時間。運動する時間なんてないし、食事もインスタントのものばかり。しかも、いつも心にゆとりがない!

親から立派な身体をもらって生まれてきても、そんな状態は、高級外車に質の悪いガソリンを入れて休みなく走らせているようなものです。

 

卵子の老化を予防する方法

 

ここまで、女性にとっては、気持ちが重~く、暗~くなる内容だったかもしれません。

でも、卵子の老化を少しでも予防する方法、「あります」。
どなたでも当てはまり、できることは以下の2点です。

①体のガソリン「腎」の消耗を防ぐ

②血液を汚さないようにし、血行をよくする

 

 

漢方で老化に関係するのは「腎」

 

漢方では体の機能を五臓に分けて考えます。
五臓は「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」からなりますが、現代医学における臓器の考え方とは異なっています。

五臓はお互いが影響しあって、健康を維持していると考えるため、どの機能に問題があるのか?しっかりと見定めこの五角形のバランスを整えることが体全体を整える、ということになります。

この五臓のうち、妊娠など生殖機能に深く関係するのは「腎」にあたります。
漢方における腎とは、いわゆる「腎臓」ではなく、泌尿・生殖器系を意味します。
腎には先天(せんてん)の気と呼ばれる、父母より受け継いだ生命力が宿るとされ、人の成長・発育・生殖に影響する生命力の強さは腎で決まります。

また、腎は加齢により自然に減少しますので、老化現象は全て腎の衰えと捉えます。
具体的には、以下に3つ以上当てはまる方は腎が弱っている可能性があります。

□ 生まれつき体が弱い
□ 初潮が遅かった
□ 体が小さい(子宮が小さい)
□ 冷え性
□ 髪の毛が薄い・白髪が多い
□ 頻尿、夜間尿がある
□ 耳鳴りがある
□ 腰痛がある

 

赤ちゃんを育てる力をつけるためには、
1)五臓のバランスを整える
2)生殖器と関係する「腎」を高める
ことが大切です。

 

腎の消耗を防ぐ3つのポイント

 

我々は、「腎」に蓄えられているガソリンを日々使いながら生きています。
燃費は、人それぞれ。疲れやすい人、徹夜やハードワークもこなせてしまう人、イロイロですよね。

腎の消耗を防ぐポイントは以下の3つです。

 

  • 夜、睡眠をとること。

どんなに疲れていても、しっかり睡眠をとれば、元気になるように、睡眠は腎の消耗を補っていきます。赤ちゃんを望む方は8時間くらいが理想的だと思います。

ゴールデンタイム(pm10時~am2時)に寝れると最高ですね!

夜の時間帯にしっかり睡眠をとることは、腎エネルギーの中の「陰」のエネルギーを補うことにつながります。

 

  • クルミやゴマ、松の実、クコの実

上記のオススメの食べ物はガソリン補給をしてくれます。また、サーモンオーバライペプチドや動物生薬の鹿角やスッポン・マムシなどガソリンを急速に補えるものなどは、卵の年齢が気になる方にオススメです!

しかし、注意しないといけないのは、腎のエネルギーには「陽」のエネルギーと「陰」のエネルギーの2種類があり、前述の急速に補えるエネルギーは「陽」のエネルギーのみで、「陽」のエネルギーばかり補給すると「陰」のエネルギーは反って枯渇します。

「陰」のエネルギーが不足すると、良質な「卵子」は育ちません。「陰」のエネルギーは、「瓊玉膏」などの漢方薬が補ってくれます。

③太陽のパワーを利用する

朝日を浴びること。野菜は太陽の光の浴びたものを摂ること。それだけ太陽にはパワーがあります。

 

血液を汚さないようにし、血行を良くする5つのポイント

 

①ストレス

漢方では気滞といいますが、気の巡りが悪くなると血行不良となり、血が澱みます。視野を広くし、柔軟なココロを持つこと。感謝すること。素直になること。あとは、根詰めないことです。こまめに深呼吸&休息を。

②食事

西洋では「糖化ストレス」が老化の原因のひとつ。大量の精製された白いお砂糖は×!そして、胃腸がよく働いてちゃんと消化してくれるように、腹八分目で。一時ブームになりましたが、クルミやゴマ、松の実、クコの実などはガソリン補充に役立ってくれる食べ物です。

③運動

体をマメに動かすこと。運動は血行を良くするだけでなく、気の巡りもよくなり、ストレス発散になります。一定のリズムで行うウォーキングなどは幸せ物質「セロトニン」が分泌されます。できれば朝日を浴びながらするのが理想的!

  • 冷え

冷たいと血行・水分の巡りは悪くなります。冷たい物の飲食は内臓の温度が冷えます。内臓が上手く働かず、二次的な血行不良にもなりやすいです。体温より温度の高いものを口にすること。水分の摂り過ぎは身体の中にたくさんの「水たまり」を作り、その「水たまり」が卵子の質を落とします。

⑤適正な脂肪の量

体脂肪が高いとホルモンバランスは乱れます。全くないのもいけませんが、痩せなくてもよいので、体脂肪は適正に。

 

すでに腎の消耗・血の滞りがある人には漢方

 

いかがですか?

もう既にガソリンが消耗してしまっている&血の滞りがある場合は、それを補ったり取り除いたりする必要があります。

特に小さい頃から喘息やアトピーがあったりすると、体質的に元々ガソリン不足である可能性があります。

また、初潮のころから生理がとびとびにしか来ず、病院でPCO(多嚢胞性卵巣)と言われたことがある方は、体の代謝がうまくいかないタイプの可能性が。

漢方で冷えをとりながら巡らせていき、また、卵巣の周りの痰湿(水分の汚れ)やお血(血液の汚れ)取り除く漢方を併用していくとよいでしょう。

 

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