緑内障について

緑内障は、日本における視覚障害の原因疾患として第1位です。

40歳以上の日本人の約20人に1人が緑内障であると推定されていますが、発症していることに気付いていない人が多いと言われている疾患です。

緑内障とは

緑内障は、目の奥にある視神経が傷ついて、視野（見える範囲）が狭くなっていく病気です。

視神経の損傷

眼球と脳をつなぐ視神経が、何らかの原因でダメージを受けます。

視野の狭窄

視神経が傷つくことで、見える範囲が徐々に狭くなっていきます。初期には自覚症状がほとんどなく、進行すると視力低下や失明に至ることもあります。

眼圧との関係

眼圧（眼の中の圧力）の上昇が、視神経を傷つける原因の一つと考えられています。しかし、眼圧が正常でも緑内障になる場合があります。

つまり、緑内障は、気づかないうちに視野が狭くなり、最悪の場合、失明してしまう恐ろしい病気なのです。

緑内障の原因

緑内障の原因は、大きく分けて以下の2つに分類できます。

1. 眼圧の上昇

• 眼圧とは、眼球の内側の圧力のことです。
• 眼圧が上昇すると、視神経が圧迫され、損傷する可能性があります。
• 眼圧が上昇する原因としては、房水（眼球内の液体）の排出が妨げられることなどが挙げられます。

2. 視神経の脆弱性

• 眼圧が正常範囲内であっても、視神経が弱い人は緑内障を発症する可能性があります。
• 視神経の脆弱性には、遺伝的な要因や、血流障害などが関係していると考えられています。

緑内障の種類

開放隅角緑内障

眼球内の房水（眼の形を保ち、栄養を供給する液体）の排出路である隅角が開放しているにもかかわらず、線維柱帯という部分が徐々に目詰まりすることで、房水の流れが悪くなり、眼圧が上昇します。眼圧の上昇により、視神経が圧迫され、徐々に損傷していくことで、視野が狭くなっていきます。

正常眼圧緑内障

正常眼圧緑内障は、眼圧が正常範囲内であるにもかかわらず、視神経が障害される病気です。近視や加齢、視神経が弱い、酸化ストレス、または血流が悪いことが原因と考えられています。

閉塞隅角緑内障

隅角が狭くなり、房水の排出が急激に妨げられ、眼圧が急上昇するタイプです。急激な眼圧上昇に伴い、激しい眼痛、頭痛、吐き気などの症状が現れることがあります。

緑内障の症状

緑内障の初期はほとんど自覚症状が無く、徐々に視野が狭くなる視野狭窄や視力低下などの症状が現れます。

このような症状は、ゆっくりと進行していくため、気づきにくく、症状を自覚したころには、すでにかなり進行してしまっていることもあります。

閉塞隅角緑内障では、急激に眼圧が上昇することで、急性緑内障発作を発症することがあります。激しい目の痛みや、充血、頭痛や吐き気などが現れ、霧視や見えにくいなど急激に視力が低下します。

治療

緑内障の治療目標は、失われた視機能を回復させることではなく、残された視機能を維持し、生活の質を保つことです。残念ながら、一度障害されてしまった視神経が回復することはありません。進行させないために眼圧を適切にコントロールし、視神経への負担を軽減することが重要です。

点眼薬

開放隅角緑内障では、主に点眼薬を用いて、治療を行います。眼圧を下げる効果のある1種類～数種類の点眼薬を、毎日決められた時間に点眼します。

レーザー治療

薬物療法で十分な効果が得られない場合や、薬物療法が難しい場合に検討されます。レーザー光を用いて、房水の排出を促したり、房水の通り道を広げたりします。

手術

薬物療法やレーザー治療で十分な効果が得られない場合や、病状が進行している場合に手術が検討されます。

緑内障を予防するには

緑内障の予防には、生活習慣の見直しと定期的な眼科検診が重要です。

バランスの取れた食事

・抗酸化作用のあるビタミンやミネラルを豊富に含む緑黄色野菜、果物、魚などを積極的に摂りましょう。

・高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、緑内障のリスクを高めるため、バランスの取れた食事を心がけましょう。

適度な運動

・適度な運動は、血流を改善し、眼圧を下げる効果があります。

・ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動を、無理のない範囲で続けましょう。

十分な睡眠

・の良い睡眠は、自律神経のバランスを整え、眼圧の安定につながります。

・趣味を楽しんだり、リラックスする時間を持つなど、ストレスを溜め込まないようにしましょう。

禁煙・節酒

・喫煙は、血流を悪化させ、視神経に悪影響を与える可能性があります。

・過度の飲酒は、眼圧を上昇させる可能性があります。

・禁煙・節酒を心がけましょう

目を休める

・パソコンやスマートフォンなどの長時間使用は、目を酷使し、眼圧を上昇させる可能性があります。

・1時間ごとに10分程度の休憩を取り、目を休ませましょう。

・意識的にまばたきをしたり、ホットタオルで目を温めるのも効果的です。

定期的な眼科検診

・40歳を過ぎたら、年に一度は眼科検診を受けましょう。

・家族に緑内障の人がいる場合は、早めに眼科を受診しましょう。

緑内障と漢方薬

緑内障の治療において、漢方薬は西洋医学的な治療の補助として用いられることがあります。

釣藤散（ちょうとうさん）

・高血圧に伴う症状や、神経の高ぶりなどを抑える漢方薬で、緑内障の助長因子である、精神的緊張による自律神経の異常を改善する目的で使用されることがあります。

杞菊地黄丸（こぎくじおうがん）

・目の疲れやかすみを改善する効果が期待できます。

・視神経の保護や、目の周りの血流改善に用いられることがあります。

目に関する症状やお悩みお気軽にご相談ください。