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人間の身体は、平常時は体温が上がっても汗や皮膚温度が上昇することで体温が外へ逃げる仕組みとなっており、体温調節が自然と行われます
しかし気温が高い、湿度が高い、風が弱いなどの「環境」の要因や、激しい労働や運動によって体内に著しい熱が生じたり、暑い環境に体が十分に対応できない「からだ」の要因によって、熱中症が引き起こされる可能性があります。
熱中症とは、体温の上昇によって体内の水分や塩分が低下し、脳への血流も不足してその機能まで低下してしまう状態です。発見と手当が早ければ軽症で済みますが、重症化すると、頭痛や嘔吐、めまい、だるさ等を発症したり、さらに意識障害を引き起こす事があります。
元々身体に対する体液の割合の少ない高齢者や、代謝の盛んな乳幼児、下痢や発熱中の人も脱水症状になりやすいので注意が必要です。また、肥満の人も皮下脂肪が多いと熱がこもりやすくなるため熱中症になりやすい体質と言えるでしょう。
人の体は約60パーセントが水分(老人では50%程度)です。
そして、体重のたった2%の水分が失われただけでも人の体は脱水状態となり喉の渇きを感じ始めます。
身体が脱水状態になるという事はこの血液中の水分も減ってしまう事になります。
これはいわゆる血のネバネバ状態を生み、血管内でつまりやすくなるのです。
では、水を飲めばよいのでしょうか?
世間では1日2リットル以上というように云われることもあるようですが、ふつうはそんなに水ばかり飲めるものではありません。
特にお年寄りやもともと胃腸が弱い方が水だけを摂り過ぎると胃酸を薄めてしまうので消化不良になったり、胃腸の働き自体を悪くしてしまう事もあります。
また、身体が冷えやすい人、むくみやすい人、それ以外にも舌のふちにギザギザと歯の跡がついていたり、舌苔がつきやすい人も水分代謝が悪い人ですから、たくさん水を飲むとかえって具合が悪くなってしまいます。
漢方(中医学)では「汗は心の涙」といいます。
汗は新陳代謝の一つですからもちろん必要ですが、だらだらと汗が出て、もれ出るようでは問題です。
更に汗をかきすぎるという状態は、運動もしていないのに運動しているかのような状態のため、体力も失われています。
こういったときには肉体疲労に用いる「麦味参顆粒(ばくみさん:生脈散(しょうみゃくさん)」という漢方薬を用います。
「麦味参顆粒」は、運動をする時に水分と一緒に服用しておくと、身体の疲労を和らげれてくれます。
又、植物由来のクエン酸が入っている「セルラック」や「梅」もおすすめです。
熱中症には開竅薬(かいきょうやく)に分類される牛黄も有効です。
牛黄の効果には、解熱、鎮痙、強心の働きがあり、特に身体を元気を補う人参(御種人参、高麗人参)と牛黄の組み合わせは、発熱で身体が弱っているときや、暑い日が続いて身体が疲れているときなどにおすすめです。常備薬として手元においておくことをおすすめします。
中国には「心静自然涼(しんせいしぜんりょう)」ということわざがあるそうです。
「夏の暑さにイライラすると、よけいに暑くなるだけ。ゆったりとした気持ちでいれば、涼やかに過ごすことができる」と教えています。
すぐに実践するのは難しいかもしれませんが、暑さにストレスを溜めず、夏を元気に乗り切りましょう。
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